やまと言葉がクレオールタミル語であることの論証

古典研究サイト 埋れ木

大野 晋先生の話(邂逅)

2009-11-17

大野先生がお亡くなりになって早一周忌を迎える。
そこで忘れないうちに、私が大野先生との間で直接交わした会話をここに書き留めて置きたい。

とはいえ、私は大野先生の教え子でもなく、まあ、ある時期フヮ~~リと軽く接触したに過ぎない。

最初は仏教学者の彦坂先生に連れられ、お茶の水の順天堂大学に、骨折で入院しておられる先生をお見舞いしたことに始まる。7年前のことであったと思う。

そのとき先生はご自身のものかどうかは定かではないが、空海の原稿、もしくは資料を寝ながらチェックされていた。
「どうも空海ってなぁ、こんな日本で言えば俗本のような、三流の資料まで取り上げてるんだな~。こういうところが空海にあるから注意しなくちゃいけないんだな」と、どなたかと話されていた。

しばらくして、彦坂先生がお見舞いのご挨拶をしたが、私の段に及んで、私は言い淀んでしまった。すると先生は、にこやかに「あなたはどちらの方?」と仰られた。
まさか、私はタミル語の…、などと素人の身としては言うべくも無く、「出版関係のことをしています」とおこたえしたが、それ以上話が繋がらなかった。が、彦坂先生が私のために記念写真を大野先生と一緒に撮って下さった。何か変な感じだったが…。

最初にお会いして以来、大野先生は非常に人当たりがよく、その後、FAXなどで私の考えをお送りしたときなども、直接電話を下さったりして、かえって恐縮してしまったことも何度かあった。

FAX交流で、私の考えにちょっと関心を示されたこともあった。
それは万葉集にある「ありぎぬの三重」という三重に掛かる枕言葉に関するタミル語での解釈で、このarigin-uというのは、タミル語allikken-iと対応するのではないか、なぜならallikken-iは「triplicate(三重)」という意味だとonlimeタミル語大辞典(OTL)には載っている、などといったことを書き送ったのである。

しかし実際にはOTLに掲載されていたのはtriplicaneという単語であった。
しかしどんな英和辞書にもtriplicaneという単語は載っていなかった。
そこでOTLにはタイプミスが多いので。わたしはこれをtriplicateの誤りと勝手に解釈してしまったのである。
書籍の方のタミル語大辞典を参照しなかったことの基礎的ミスであった。悪意はないとはいえ改竄そのものである。

数日して、先生から電話を頂いた。「私も、これは…、と思って調べて見たんですが、あれはtriplicaneという蓮といったような意味らしいです」

こうしてこの一件は収束したが、数年後、再びtriplicaneは三重との関係で 面白い関係があることを私は発見した。このことは本にも書いたが、このHPにも近々書こうと思っている。

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