- す -
す[為] (動、サ変)する。なす。サ変動詞の基本語。この語は、名詞と結合して、多くのサ変複合動詞を作る。⇒さぎやうへんかくくわつよう。
(助詞)四段に活用する。敬意をあらわす。(1)四段活用およびサ変の動詞の未然形に付く。万葉[1-1]「この丘に菜摘ます児」同、[1-45]「神ながら、神さびせすと」(2)少数の例外として、「見る」「着る」など上一段活用の動詞の未然形に付く。それらの場合には、動詞の音が変化して、「見」が「め」、「着」が「け」となる。万葉、[20-4509]「はふ葛の絶えず偲ばむ大君の見(め)しし野辺には標(しめ)結ふべしも」古事記、中「その姨(みをば)の御衣の御裳を服(け)して」
(助動)下二段に活用する。(1)使役の意をあらわす。四段・ら変・ナ変の動詞の未然形に付く。書かす。侍らす。死なす。(2)敬意をあらわす。やはり、四段・ラ変・ナ変の動詞の未然形に付くが、多くは下に「らる」「給ふ」などの語を伴なうので「す」の未然形の「せ」、連用形の「せ」が用いられるわけである。書かせらる(未然形)。書かせ給ふ(連用形)。
す[素] (接頭)(1)ありののままの意を示す。素顔。素手。(2)ただそれだけで平凡な意を示す。す浪人。す寒貧。
(接尾)漢語の下に付ける意味のない語。扇子。金子。払子(ほつす)。様子。(「草子」の「し」なども、この類)
(助動)サ変に活用する。推量の助動詞「む」およびその音便「う」に付いて、「とす」の意をあらわす。竹取「迎へに人人詣で来むず」源氏、帚木「うち笑ひおはさうず」
(助動)否定の意をあらわす。用言およびある種の助動詞の未然形に付く。正活用と補助活用とがある。正活用は「ず・ず・ず・ぬ・ね・○」と活用し、命令形がない。行かず。高からず。静かならず。言はせず。補助活用は「ざら・ざり・ざり・ざる・ざれ・ざれ」とラ変に活用し、命令形がある。降らざらむ。寒からざりき。打たれざるべし。明らかならざれども。行かざれ。
すあう…オウ[素襖] (名)「すはう」に同じ。
すあひ…アイ[牙僧] (名)売買のなかだちをする人。さいとり。
すあを…オウ[素襖] (名)「すはう」に同じ。(仮名遣は「あう」の方がよいと思うが、「あを」と書いたものが多い)
すいがい[透垣] (名)「すきがき」の音便。板または竹で、間を透かして作った垣。すいがき。徒然草、十段「すのこ・すいがいのたよりをかしく」
すいがぎ[透垣] (名)前項の原形。詞花集、三、秋「賀茂のいつきと聞えて侍りける時、本院のすいがきにあさがほの花咲きかかりて侍りけるをよめる 禖子内親王」
すう[据う] (動、下二)据える。(1)安置する。鎮める。(神を祭り祈るために、忌瓮(いはひべ)を据える)崇神紀、十年九月「ここに忌瓮を、わにのたけすきの坂の上にすう」万葉、[3-443]「斎瓮(いはひべ)を前にすゑ置きて」(2)(鳥などを)とまらせて置く。万葉、[17-4012]「矢形尾の鷹を手に据ゑ三島野に狩らぬ日数多(まね)く月ぞ経にける」(3)(人を)そこに居らせる。番をさせる。伊勢物語「あるじ聞きつけて、その通ひ路に夜毎に人をすゑて守らせければ」(4)地位につける。源氏、紅葉賀「坊にもすゑ奉らずなりにしを」(5)設けて置く。備え設ける。後撰集、十、恋二「たちよらば影ふむばかり近けれど誰か勿来(なこそ)の関はすゑけむ」(6)おちつかせる。定める。山家集、上「夕立の晴るれば露ぞ宿りける玉ゆりすうる蓮の浮き葉に」(7)押す。捺印する。高野万年草、上「腐れ腐れと血判を据ゑた小舌たるい女子文」(8)灸点に、もぐさをのせ、火を点ずる。奥の細道「三里に灸すうるより、松島の月まづ心にかかりて」
すうし[数詞] (名)文法用語。体言の一。数量をかぞえはかり、または順序をかぞえるに用いる語。「一・二・ひとつ・ふたつ・一人・一尺・一合・もも・ち・よろづ・第一・一番・二・三日・みかよか・幾日・何番め」の類。
ずうず[誦ず] (動、サ変)「誦す」の転。読む。歌う。口ずさむ。じゆす。ずす。ずんず。
すうぜう…ジヨウ[芻蕘・■蕘] (名)「芻」は「草を刈る人」、「蕘」は「木を伐る人」。草刈りと木こりと。身分の低い者をいう。奥の細道「人跡稀に、雉兎・芻蕘の行きかふ道、そこともわかず」(「■」は「芻」の俗字)
すが[須賀] (地名)出雲の国、島根県大原郡海潮村大字諏訪の須賀山にある御室山がその地という。古事記、上「須佐之男命、宮造るべきところを出雲の国に求(ま)ぎたまひき。ここに須賀のところに到りまして」
すが[菅] (名)「すげ」のこと。古事記、中「海に入りまさむとする時に、菅畳八重、皮畳八重、きぬ畳八重を波の上に敷きて、その上に下りましき」
すかいたまふ…タマウ[すかい給ふ] (句)「すかし給ふ」の音便。だまし給ふ。あざむき誘い給ふ。源氏、帚木、「残り言はせむとて、さてさてをかしかりける女かなとすかい給ふを」
すががき[菅掻・清掻] (名)和琴の奏法。和琴の初めは弓の弦を並べて菅で掻き鳴らしたのでこの名が起ったという。源氏、常夏「わざともなくかきならし給へるすががきのほど、いひ知らずおもしろう聞ゆ」
すががく[菅掻く・清掻く] (動、四)すががきを弾く。源氏、真木柱「あづまの調べをすががきて」
すかがは…ガワ[須賀川] (地名)福島県岩瀬郡の東部にある地。阿武隈川の左岸。旧奥州街道の宿駅。奥の細道「須賀川の駅に等躬といふ者をたづねて、四、五日とどめらる」
すがき[簀垣] (名)竹で作った透垣(すいがい)。散木集、恋下「心あひの風ほのめかせ八重簀垣ひまなき思ひに立ちやすらふと」
すがき[簀掻] (名)床に簀子(すのこ)を敷くこと。また、その床の称。夫木抄、雑十三「山がつのすがのき床の下さえて冬来にけりと知らせ顔なる」
すがき[巣がき] (名)(蜘蛛が)巣をかけること。拾遺集、十七、雑秋「秋風は吹きな破りそ我が宿のあばら隠せるくものすがきを」
すがく[巣がく] (動、四)(蜘蛛が)巣をかける。万葉、[5-892]「こしきには蜘蛛の巣掻きて」すがくゐん…イン[修学院](寺名)「しゆがくゐん」ともいう。比叡山の西の麓にあった寺。その地は、今の京都市左京区修学院町である。更級日記「親族なる人、尼になりて、すがくゐんに入りぬるに、冬ごろ……」
すがごも[菅菰] (名)菅で編んだこも。奥の細道「奥の細道の山際に十符(とふ)の菅あり。今も年年十符の菅菰をみつぎて国守に献ずといへり」⇒とふ。
すかす[賺す] (動、四)(1)あざむき誘う。たぶらかす。だます。源氏、帚木「さばかりならむあたりには、誰かはすかされ寄り侍らむ」歎異鈔「たとひ法然上人にすかされまゐらせて、念仏して地獄におちたりとも、さらに後悔すべからず候ふ」(2)なぐさめて、だます。なだめる。宇治拾遺、四「物取らせなどして、すかし問ひければ」
すがすがし (形、シク)(1)さわやかで気持ちがよい。すがすがしい。古事記、上「あれ、ここに来まして、あが御心すがすがしとのり給ひて」(貴人は、自身に関しても敬語を用いる)(2)とどこおりがない。ぐずぐずしない。すみやかである。源氏、帚木「殿上なども思ひ給へかけながら、すがすがしうはえまじらひ侍らざめると申す」
すがすがと (副)さわやかに滞りなく。すらすらと。源氏、桐壺「すがすがともえまゐらせたてまつり給はぬなりけり」更級日記「ぬまじりといふ所も、すがすがと過ぎて」
すがた[姿] (名)(1)なりふり。かおかたち。(2)なりふりのよいこと。蜻蛉日記「木の間より見通しやりたれば、姿なる人あまた見えて、歩む歩む来る」(3)おもむき。風情。趣味。枕草子、三「木は……すがたなけれど、すろの木、からめきて、わろき家のものとも見えず」(4)形勢。なりゆき。ありさま。藤簍冊子「この後、やうやう衰へさせ給はむ世の姿なるは」
すがなし (形、ク)諸説があるが、「悲しい」「なげかわしい」の意とするのが妥当であろう。「すが」は「すがすがし」の語根で、「すがすがしくない」の意から転じた語であろう。万葉、[17-4015]「こころにはゆるぶくことなくすがの山すがなくのみや恋ひわたりなむ」(「すがの山」は枕詞)
すがのあらの[須賀の荒野] (地名)歌枕の一。長野県東筑摩郡の梓川と■井川との間の野原。万葉、[14-3352]「信濃なる須賀の荒野にほととぎす鳴く声聞けば時すぎにけり」賀茂真淵の詠「信濃なるすがのあら野を飛ぶ鷲のつばさもたわに吹く嵐かな」
すがのねの[菅の根の] (枕詞)菅の根は長く乱れはびこることから「長き」「乱れ」に、また、「ね」の語を重ねて「ねもごろに」に冠する。万葉、[10-1921]「菅の根の長き春日を恋ひわたるかも」同、[4-679]「菅の根の思ひ乱れて恋ひつつもあらむ」同、[4-580]「菅の根のねもころ見まくほしき君かも」(「ねもころ」は「ねんごろに」)
すがのやま[須加の山] (枕詞)越中の国、富山県礪波郡今宮島村字須川(すが)にある山であろう。頭音をくりかえして「すがなく」に冠する。万葉、[17-4015]「すがの山すがなくのみや恋ひわたるらむ」」⇒すがなし。
すがはら[菅原] (名)菅の生えている原。古事記、下「やたらの、ひともとすげば、こもたず、たちかあれなむ、あたらすがはら」=(大和の)八田の一本菅は実を持たない。(だから)あったら菅原が立ち枯れてしまうだろう。(比喩)
すがはらのこれよし…ワラ…[菅原是善] (人名)平安時代の文学者。道真の父。文章博士。「文徳実録」の撰者の一人。元慶四年(880)没、年六十八。
すがはらのさと…ワラ…[菅原の里] (地名)奈良県生駒郡伏見村大字菅原の地。菅原神社・菅原寺などがある。万葉、[20-4491]「大き海の水底深く思ひつつ裳引きならしし菅原の里   石川女郎」
すがはらのたかすゑのむすめ…ワラ…スエ[菅原孝標の女] (人名)平安時代の女流文学者。父孝標に伴なわれて上総へ下り、十三歳の時、京都へ帰り、のち、後朱雀天皇の皇女祐子内親王に仕え、辞して橘俊通に嫁した。少女時代から文学にあこがれ、多くの和歌や著作をのこした。その歌は「新古今集」以下に収む。寛弘五年(1008)生まれ、没年未詳。主著、更級日記。
すがはらのみちざね…ワラ…[菅原道真] (人名)平安時代の文学者・政治家。是善の子。博識多才かつ詞藻豊富な碩学。宇多・醍醐の両朝に歴仕。右大臣に進んだが、藤原時平に讒されて太宰権帥に貶せられ、筑紫へ下って謹慎の意を表し、延喜三年(903)配所で薨じた。年五十八。主著、菅家文草・菅家後草・類聚国史。
すがはらのゐん…ワラ…イン[菅原の院] 菅原道真の家。一説、父是善の家。別名、歓喜光寺。京都勘解由小路の南、烏丸の西にあった。枕草子、二十五「家は……菅原の院」
すがひすがにスガイスガイニ (副)「すぎすぎに」の延音。つぎつぎに。ひっきりなしに。山家集、上「しだり咲く萩の古枝(ふるえ)に風かけてすがひすがひに男鹿なくなり」
すがふスガウ (動、四)「次(す)ぐ」の延音。(1)次ぐ。並ぶ。追ひつく。匹敵する。源氏、手習「前にも、うちすがひたる尼ども二人臥して、劣らじと鼾あはせたり」(2)反対になる。違う。狭衣、三、下「若き殿上人などはいとまばゆげに思ひて、いとうるはしうて帰るもあり。また、うちすがひて愛敬づきてもてなすなどもありつつ、さまざまをかしうもありける」
すがむ[眇む] (動、四)「すが」は「細い」義。すが目となる。片目となる。平家、一、殿上闇討「忠盛の目のすがまれたりける故にこそ、かやうには、はやされけるなれ」
すがむ[眇む] (動、下ニ)片目を細くして、物をねらい見る。曾我物語、九「祐成、彼奴は少し怖しと思へば、松明少し側へ回し、眼を少し眇めて居たりけり」「ためつすがめつ」
すがめ[眇] (名)「すがみ目」の約か。また、前項の連用形の名詞に転じたものか。片目。めっかち。平家、一、殿上闇討「伊勢瓶子(平子)は酢瓶(眇)なりけりとぞ、はやされける」
すがやかなり (形動、ナリ)(1)すがすがしい。さっぱりとしている。狭衣、一、上「このめのと、いでたちいとすがやかなるけしきにて」(2)滞りない。すみやかに運ぶ。栄花、衣の珠「御荘御荘の券などをすがやかに奉にり」
すがら (接尾)(1)「尽きるまで」の意を添える。夜すがら。夜もすがら。(2)「ながら」「それなりに」の意を添える。道すがら。行くすがら。
すがる[蜾■] (名)(1)「じかばち」の古称。(2)転じて、虻(あぶ)の類。(3)誤って鹿をいう。一説、鹿の細腰をすがるにたとえていう語。古今集、八、離別「すがる鳴く秋のはぎはら朝たちて旅ゆく人をいつとか待たむ」
すがる[縋る] (動、四)頼みとして、よりかかる。」
すがる[酸がる] (動、四)すっぱがる。
すがる[末枯る] (動、下二)おとろえる。疲れる。
すき[好き] (名)(1)好くこと。このみ。嗜好。「きらい」の対。(2)数寄。そのことにこること。風流。好事。また、和歌・茶の湯。(3)いろごのみ。好色。多情。源氏、薄雲「いにしへのすきは思ひやり少なきほどのあやまちに神仏も許したまひけむ」(4)色道における「たしなみ」「しこなし」。一代男、五「首尾の時の手だれ、わざとならぬすきなり。かりにもさもしきことは言はず」
すき[主基] (名)大嘗祭殿の一。悠紀(ゆき)の対。⇒だいじやうゑ。
すき[次] (名)前項に同じ。天武紀、五年九月「次、これを須岐といふ」
すき[数寄・数奇] (名)「好き」の(2)に同じ。鎌倉時代以後、室町時代ごろ、「好き」に「数寄」「数奇」などの文字を当てたもの。
すきがけ[透き影] (名)(1)物のすきまから見える影。枕草子、ニ「にくきもの、……すきかげに、ただひとりかがよひて、心一つにまもり居たらむよ」=車の簾からの透き影に、ただ一人いばっていて、わが心一つで見つめているだろうよ(にくいらしいではないか)。(2)物から透きとおって見える影。枕草子、七「きよしと見ゆるもの……水を物に入るる透き影」
すぎがてに[過ぎがてに] (句)過ぎがたくて。ただ通り過ぎることができないように。連用修飾節である。古今集、三、夏「夜やくらき道やまどへるほととぎすわがやどをしも過ぎがてに鳴く」
すきがまし[好きがまし] (形、シク)(1)ものずきがましい。(2)色ごのみがましい。源氏、帚木「右のおとどのいたはりかしづき給ふすみかは、この君もいとものうくして、すきがましきあだ人なり」
すきがら[鋤柄] (名)鋤の柄(え)。水鏡、中「十余人ばかりして担ひつべきほどのすきがらを作りて水口にたて」
すきごこち[好き心地] (名)(1)色好みの心。(2)好き心。
すきごころ[好き心] (名)(1)色好みの心。(2)風流な心。
すきごと[好き事] (名)(1)ものずき。竹取「かかるすきごとをし給ふことと、そしりあへり」(2)好色。源氏、帚木「光源氏、名のみことごとしう、いひ消たれ給ふとが多かなるに、いとど、かかるすきごとどもを、末の世にも聞き伝へて、かろびたる名をや流さむと」
すきずきし[好き好きし] (形、シク)(1)ものずきらしい。すいきょうらしい。枕草子、一「御誦経などあまたせさせ給ひて、そなたに向かひてなむ、念じくらせ給ひけるも、すきずきしくあはれなることなり」(2)色好みらしい。好色めいている。枕草子、一「さらにかやうのすきずきしきわざ、ゆめにせぬもの、家におはしましたりとて、むげに心にまかするなめりと思ふもをかし」
すきずきしさ[好き好きしさ] (名)すきずきしいこと。また、その程度。
すぎすぎに[次次に] (副)つぎつぎに。源氏、東屋「まだをさなきなど、すぎすぎに五、六人ありければ」狭衣、三、上「人人あまたありけるが走り重なりて、衣の裾をおのおの踏まへつつ、すぎすぎに倒れ臥したるは、牧の馬の心地ぞしたる」
すぎたげんぱく[杉田玄白] (人名)江戸時代の蘭医。若狭のひと。わが国における西洋医学の祖。前野良沢らと「解体新書」を著わし、また、みずから「蘭学事始」を著わした。文化四年(1817)没、年八十四。
すぎたてるかど[杉立てる門] (名)昔の謡いものの一。「梁塵秘抄」にある「恋ひしくばとうとうおはせわが宿は大和なる三輪の山もと杉立てる門」の謡をいう。これは、古今集、十八、雑下「わが庵は三輪の山もと恋ひしくばとぶらひ来ませ杉立てるかど」を歌いかえたもの。枕草子、十一「うたは、杉立てる門」
すきたわむ[好き撓む] (動、下二)好色で、なびきやすい。源氏、帚木「なにがしが賤しきいさめにて、すきたわめらむ女には心おかせ給へ」
すきと (副)さっぱり。ちっとも。絶えて。浮世風呂、初、下「この間、すきとおいでがない」
すぎのやしろ[杉の社] (神社名)三輪神社のことか。「三輪の杉」ということは、「万葉」以来有名である。枕草子、十「やしろは……杉のみやしろ」
すきはぬ[鋤き撥ぬ] (動、下二)鋤で撥ね起す。古事記、下「をとめの、いかくるをかを、かなすきも、いはちもがも、すきはぬるもの」=少女の隠れている丘を、金鋤が五百箇もあればなあ、鋤き撥ねて、見つけ出そうものを。
すぎはひスギワイ[生業] (名)生計。活計。なりはひ。
すきひがむ (動、四)「すき」は歯の抜けた「すきま」、「ひがむ」は「普通と違う」。老人の声などにいう。源氏、若紫「かれたる声のいたうすきひがめるも、あはれにぐうづきて、陀羅尼よみたり」(「ぐうづき」は「効験があるらしく」)
すきびたひ…ビタイ[透き額] (名)冠の一種。甲に小さな月形を透かして作ったもの。元服以後、十六歳未満の時に用いるという。謡曲、杜若「色かがやく衣を着、透き額の冠を着し、これ見よと承る。こはそも、いかなる事にて候ふぞ」
すぎむらの[杉群の] (枕詞)類音をくりかえして「すぐ」に冠する。万葉、[3-422]「いそのかみふるの山なる杉むらの思ひ過ぐべき君にあらなくに」(上三句は序詞)
すきもの[好き者] (名)(1)好事家。風流家。風雅な人。源氏、若紫「例の篳篥吹く随身、笙の笛持たせたるすきものなどあり」(2)好色家。色好みの人。伊勢物語「昔、男、筑紫までいきたりけるに、これは色好むといふすきものと、簾の中なる人の言ひけるを聞きて」
すきや[数寄屋・数奇屋] (名)茶の湯の会のために、特に建てた小さな庵をいう。茶寮。⇒すき(数寄)。
すぎやう…ギヨウ[修業] (名)修行(しゆぎやう)に同じ。
ずきやう…きよう[誦経] (名)(1)お経を読むこと。僧に読経させること。(2) 誦経の施物。新古今、八、哀傷「小式部内侍みまかりて後、常に持ちて侍りける手箱を誦経にせさすとて 和泉式部」
すぎやうざ…ギヨウ…[修行者] (名)「すぎやうじや」とも「しゆぎやうじや」ともいう。仏道を修行するために方方を行脚する者。回国巡礼の類。
すぎやまさんぷう[杉山杉風] (人名)⇒こひやさんぷう。
すきわざ[好きわざ] (名)好色のしわざ。源氏、葵「心のすさびにまかせて、かくすきわざするは、いと世のもどき負ひぬべきことなり」(「もどき」は「批判」「非難」)
すく[秀句] (名)「秀句(しうく)」(2)に同じ。その項を見よ。
すくえう…ヨウ[宿曜] (名)二十八宿九曜の運行に考えて、人の運命をうらなう術。その術をなす人を「宿曜師」という。「しゆくえう」ともいう。源氏、桐壺「宿曜のかしこき道の人に考へさせ給ふにも、同じさまに申せば、源氏になしたてまつるべくおぼしおきてたり」
すぐす[過ぐす] (動、四)(1)すごす。竹取「集まりて、疾くおろさむとて、綱を引きすぐして、綱絶ゆるすなはちに、やしまの鼎の上にのけざまに落ち給へり」(2)年齢が多い。源氏、桐壺「女君は少しすぐし給へるほどに、いと若うおはすれば、似気(にげ)なく恥づかしと」
すくすくし (形、シク)ひとむきである。きまじめである。一本気である。源氏、帚木「常は、いとすくすくしく、心づきなしとあなづる伊予のかたのみ思ひやられて」
すくすくと (副)ぐんぐんと。ずんずんと。すらすらと。竹取「このちごやしなふほどに、すくすくと大きになりまさる」
すくせ[宿世] (名)(1)前世。さきの世。蜻蛉日記「堪へがたくとも、わが宿世の怠りにこそあめれなど、心をちぢに思ひなしつつ」(2)前の世からの因縁。運命。伊勢物語「宿世つたなく悲しきこと」増鏡、ニ、新島もり「かつはわが身の宿世も見るばかりと思ひなりて」
すぐだつ (動、四)まじめである。まじめがる。落窪物語「いといたくなすぐだちそとて、しとと打ち給へば」
すくね[宿禰] (名)(1)上古、臣下を親しんで呼ばれた語。(2)のち、姓(かばね)の一。
すくまる[竦まる] (動、四)次項に同じ。
すくむ[竦む] (動、四)すくまる。(1)小さくなって動かぬ。ちぢまって動かれない。(2)縮む。こわばる。源氏、梅枝「からの紙のいとすくみたるに、草(さう)に書き給へる、すぐれてめでたしと見給ふに」
すくむ[竦む] (動、下二)すくめる。(1)すくむようになる。新六帖、一「こがらしの吹きすくめたる冬の夜に月見て寒きわがすがたかな」(2)伸びないようなさまにする。源氏、帚木「まんなを走り書きて、さるまじきどちの女ぶみに、なかば過ぎて書きすくめたる、あな、うたて」
すくやかなり[健かなり] (形動、ナリ)「すくよかなり」に同じ。
すくやかもの[健か者] (名)強健な者。義経記、五、三「すくやか者を先に立て」
すくよかなり[健かなり] (形動、ナリ)(1)丈夫である。強い。(身体にも精神にもいう)狭衣、ニ、上「物にすこしきはたけきまで、すくよかにけだかく重りかなる御心にて」(2)謹直である。源氏、若紫「すくよかにいひて、ものごはきさまし給へれば」(3)けわしい。険阻である。源氏、帚木「すくよかならぬ山のけしき」
すくよかごころ[健か心] (動)たゆまない強い心。源氏、夕霧「かばかりのすくよかごごろに思ひそめてむこと」
すぐり[村主] (名)古代の姓(かばね)の一。帰化人の中の有力な者の称する姓。
すぐり[過ぐり] (動)「過ぎ」に同じ。万葉、[13-3309]「たちばなの末枝(ほつえ)を過ぐり、この川の下にも長く、汝(な)が心待て」
すけ[出家] (名)「しゆつけ」の約転。仏道に入ること。大鏡、二、左大臣時平「やがて山崎にてすけせしめ給ひて」
すけ[次官] (名)長官の次位。官によって、文字を異にする。附録参照。
すげなし (形、ク)人づきあいがわるい。あいそがない。つれない。あじきない。無情だ。源氏、桐壺「さまあしき御もてなしゆゑこそ、すげなうそねみ給ひしか」大和物語「親聞きつけて、男をもすげなくいみじう言ひて」
すげむ (動、四)老人の歯が抜けて、まばらである。頬が落ちこんで、くぼんだようになる。増鏡、はしがき「すげみたる口うちほほゑみて」
すこし[少し] (形、シク)(1)少ない。風雅集、雑中「大井川はるかに見ゆる橋の上に行く人すこし雨の夕暮れ」(2)小さい。徒然草、八十五段「大きなる利を得むがために、少しき利を受けず、偽りかざりて名を立てむとすと謗る」
すこし[少し] (副)わずか。ちょっと。
すごも[簀薦・食薦] (名)竹をすだれのように編み、白い絹を裏につけた薦様なもの。饌具を置くに用い、また、食卓の下に敷くに用いる。万葉、[16-3825]「すごも敷き青菜煮持ち来(こ)、うつばりにむかばきかけて休むこのきみ」
すこやかなり[健かなり] (形動、ナリ)丈夫である。達者である。健康である。
すごろくの (枕詞)すごろくの賽には一から六までの目があるので、その目の一ということから同音の「市」に冠する。拾遺集、十九、雑恋「すごろくの市場に立てる人づまの逢はでやみなむものにやはある」(「すごろくの」ともいう)
すさ[朱砂] (名)紅色の鉱物の名。丹砂(たんさ)。辰砂(しんしや)。硫化汞である。砕いて粉にし、銀朱の代わりに漆器に塗り、また、一種の薬用に供する。中国の辰州に多く産する。枕草子、八「いやしげなるもの……胡粉・朱砂など色どりたる絵からきたる」
ずさ[徒者] (名)「じゆうしや」の音便。枕草子、四「ありがたきもの……主そしらぬ人のずさ」
すさい[秀才] (名)「しうさい」の音便約。宇津保、田鶴村鳥「人にふみ読ませなどするに、すさい四人まゐれり」
すさき[洲崎] (名)水辺の洲が崎となって、水中に突き出ているところ、平家、灌頂、六道「夜は洲崎の千鳥と共に泣き明かす」
すざく[朱雀] (名)方角の四方のうち、「南」をいう。⇒しじん。(四神)。
すざくもん[朱雀門] (名)大内裏外郭十四門の一。大内裏の正門に当たる。別名、しゆじやくもん。
すざくもん[朱雀門] (名)大内裏外郭十四門の一。大内裏の正門に当たる。別名、しゆじやくもん。すざかのもん。すざかのみかど。あまごひもん。大門。南門。大伴門。重閣御門。附図参照。
すざくゐん…イン[朱雀院] (名)嵯峨天皇以後、歴代の後院。四条ともいう。京都三条の南、朱雀の西にあった。(「後院」は、天皇御譲位後の御所)枕草子、一、「家は……冷泉院・朱雀院」
すさのをのみことスサノオ…[素盞鳴尊・須佐之男命] (神名)イザナギ・イザナミの御子で、天照大御神の弟とされている。極めて勇悍かつ乱暴で、大神の怒りにふれ、出雲へ追放され、ここで八岐大蛇を退治して、櫛稲田姫と婚し、その住宅の地を見立てる時に「やくもたついづもやへがきつまごみにやへがきつくるそのやへがきを」と詠じたというので、これが日本短歌の最古のものとされている。
すさび[荒び] (名)(1)衝動のままに行うこと。源氏、葵「わが心のすさびにまかせて、かくすきわざするは」(2)もてあそび。あそび。なぐさみ。風雅集、雑上「このごろは月にもなほぞ馴れまさる寝られぬままの老いのすさびに」
すさぶ[荒ぶ] (動、四)(1)衝動のままに行う。枕草子、十「火箸して灰など掻きすさびて」(2)勢いが尽きて衰える。衰えてやむ。新古今、十四、恋四「思ひかねうち寝る宵もありなまし吹きだにすさべ庭の松風」
すさまじ[凄じ] (形、シク)(1)興がさめる。殺風景である。面白くない。枕草子、二「すさまじきもの、昼ほゆる犬、春のあじろ」(2)ものすごい。新古今、六、冬「山里の風すさまじきゆふぐれに木の葉みだれてもの悲しき 藤原秀能」(3)驚きあきれる。源氏、桐壺「いとすさまじうものしときこしめす」
すさみ (名)「すさび」に同じ。
すさむ[荒む] (動、四)(1)衝動のままに行う。おぼれる。ふける。すさぶ。(2)いとう。きらう。住吉物語「世の中をもすさみ、宮仕へをも忘れて」
すさむ[荒む] (動、下二)(1)すさませる。荒れさせる。(2)なぐさめとする。賞翫する。源氏、花宴「頭中将のすさめぬ四の君などこそ、よしと聞きしか」(3)きらう。いやがる。うとんずる。増鏡、十二、老のなみ「殿は、もとおはせし北政所をもすさめ給ひて」
すさる[退る] (動、四)さがる。しりぞく。しさる。
すじやく[朱雀] (名)「すざく」に同じ。
ずす[誦す] (動、サ変)声をあげて読む。ずんず。
ずず[数珠] (名)「じゆず」のこと。
すずか[鈴鹿] (名)和琴の名器。昔、「玄上」などと共に皇室に伝えられたもの。平家、七、主上郡落「玄上・鈴鹿などをも取り具せよと、平大納言時忠卿下知せられたりけれども」
すずかがけ…ガワ[鈴鹿川] (地名)三重県の川。鈴鹿山脈の加太谷に発し、鈴鹿郡中部以北の水を集めて東に流れ、河芸・三重二郡を経て伊勢湾に注ぐ。万葉、[12-3156]「鈴鹿川八十瀬(やそせ)渡りて誰が故か夜越えに越えむ妻もあらなくに」
すずかけ[篠懸] (名)修験者(山伏)の着物の上におおう衣。麻布で作り、素袍のような形をしている。深山の篠(笹)の露を防ぐために着るという。謡曲、安宅「旅のころもは篠懸の、露けき袖やしをるらむ」
すずがねの[鈴が音の] (枕詞)昔、急使の往来に用いた駅の早馬(はやま)には鈴をつけたので「早馬」に冠する。万葉、[14-3439]「鈴が音の早馬うまやの堤井(つつみゐ)の水を賜へな妹が直手(ただて)よ」
すずかのせき[鈴鹿の関] (地名)昔、鈴鹿山に設けた関所。三関の一。枕草子、六「関は、逢坂関、須磨の関、鈴鹿の関」⇒さんくわん。
すずかやま[鈴鹿山] (地名)三重県鈴鹿郡の西部(関町・坂下村・加太(かぶと)村)の西北に聳える山の総称。昔は、みな伊賀路すなわち加太越えによったもので、早くからあらわれている。新古今、十七、雑中「鈴鹿山うきよをよそにふりすてていかになりゆくわが身なるらむ 西行法師」
すすきはぎのこや[薄矧の小矢] (名)すすきで作った矢。子供の遊戯に用いるもの。曾我物語「或時、兄弟は竹の小弓に薄矧の小矢を取り添へて、遠侍に出でて遊びけるが」
すすこり[須須許里] (人名)応神天皇の朝、百済から来て、醸酒の法を伝えた人。古事記、中「すすこりが、かみしみきに、われゑひにけり」
すずし[生絹] (名)まだ練らない生糸で織った絹布。枕草子、十二「すずしのひとへあざやかなる袴ながく着なして」
すずしろ (名)「大根」の異称。春の七種(ななくさ)に用いる時の称。
すすどし (形、ク)するどい。鋭敏である。敏捷である。平家、十一、大坂越「九郎はすすどき男なれば」
すずな[菘] (名)「かぶらな」の異称。春の七種(ななくさ)に用いる時の称。
すずのつな[鈴の綱] (名)禁中、校書殿のうしろに張り、鈴をつけておいた綱。蔵人が小舎人を呼ぶ時、これを鳴らす。平家、一、殿上闇討「うつぼ柱より内、鈴の綱の辺に、布衣の者の候ふは何者ぞ、狼藉なり」
すずのや[鈴の屋] (人名)本居宣長の号。宣長はその書斎に多くの鈴を置き、これを鳴らして気を引き立てたので、その書斎の号としたが、転じて宣長の号となる。
すずめがくれ[雀隠れ] (名)春、草木の芽や葉などが漸く生い立ち、雀が身を隠すほどになること。蜻蛉日記「三月になりぬ。このめ、すずめがくれになりて」
すすめるかた[すすめる方] (句)勝ち気な方。勝ち気な女。源氏、帚木「すすめる方と思ひしかど、とかくになびきて」
すずりのふた[硯の蓋] (句)「硯箱の蓋」のことであるが、昔は、物を載せるのにも用いた。すずりぶた。宇津保、蔵開、上「白き色紙一巻、硯のふたに入れて」
すずりぶた[硯蓋] (名)前項に同じ。
すずろく[漫ろく] (動、四)(1)何となく心がはやる。気が進む。源氏、帚木「このをとこ、いたくすずろきて、かど近き廊の簀子だつものに尻かけて、とばかり月を見る」(2)何となく恥ずかしがる。古今著聞集、十六、興言利口「いとすずろきて、とみに言ひも出ださず」
すずろなり[漫ろなり] (形動、ナリ)(1)何となく心が動く。伊勢物語「昔、男、すずろにみちのくまでまどひいにけり」(2)思いもよらない。意外である。つまらない。竹取「うたてある主の御許につかうまつりて、すずろなる死にをすべかむめるかな」(3)何の関係もない。あやしい。えたいが知れない。源氏、若紫「すずろなる人も所がらものあはれなり」同、浮舟「人ずくなにいとあやしき御ありきなれば、すずろなるもの走り出できたらむもいかさまにかと、さぶらふかぎり心をぞまどはしける」
すずろはしスズロワシ[漫ろはし] (形、シク)(1)おちつかない。そわそわする。大鏡、三、左大臣師尹「待ちつけさせ給へる宮の御心地は、さりとも少しすずろはしう思し召されけむかし」(2)ぐあいがわるい。不体裁だ。恥ずかしい。蜻蛉日記「なま心ある人などさし集まりて、すずろはしや」
すすろふススロウ[啜ろふ] (動、四)「すする」の延音。万葉、[5-892]「糟湯酒(かすゆざけ)うちすすろひて」(「糟湯酒」は、酒の糟を湯にといたもの)
すずろぶ[漫ろぶ] (動、上二)不覚めいている。粗忽めいている。今昔、二十九「ただすずろびにすずろびて腹立つ気色を、検非違使ども見つつ」
すずろものがたり[漫ろ物語] (名)とりとめもない物語。
ずそ[呪詛] (名)「呪詛(じゆそ)の音便。まじない、のろうこと。宇津保、蔵開、下「天下にその六将をずそして殺したいまつりても」(「たいまつり」は「奉り」の意)
すそご[裾濃] 染色の名。裾の方を濃く、紫または紺などで染めたもの。枕草子、一「祭の頃は、いみじうをかし……すそ濃・むら濃・巻染など、常よりもをかしう見ゆ」
すそつけのころも[裾着の衣・■衣] (名)直衣(なほし)に同じ。
すそみ[裾廻・裾回] (名)裾の周囲。山の麓の周囲中の一地点。すそわ。万葉、[20-4316]「高円(たかまと)の宮の裾廻の野づかさに今咲けらるむをみなへしはも」
すぞろなり[漫ろなり] (形動、ナリ)「すずろなり」に同じ。
すぞろはしスゾロワシ[漫ろはし] (名)「すずろはし」に同じ。
すそわ[裾廻・裾回] (名)「すそみ」に同じ。方丈記「或はすそわの田井にいたりて落ち穂を拾ひて」
すだ[首陀・須陀] (名)「しゆだ」に同じ。保元物語、一、法皇崩御の事「無常の境界は、刹利も首陀もかはらねば」
すだく[集く] (動、四)(1)集まる。むらがる。万葉、[11-2833]「葦鴨(あしがも)のすだく池水■るとも儲溝(まけみぞ)の方(へ)にわれ越えめやも」伊勢物語「むぐら生ひて荒れたる宿のうれたきはかりにも鬼のすだくなりけり」(2)後世、誤って、虫などの鳴く意に用いる。
すたべ[棄戸] (名)未詳。床または柩の意か。神代紀、上「一書に曰く……檜は瑞宮(みづのみや)をつくるべき材とすべし。柀は、うつしきあをひとぐさの奥津棄戸にもち臥さむ具(そなへ)になすべし」(「奥津棄戸」は「奥床」「奥房」または「墓地の柩」)
すだま[魑魅] (名)山林の精気から生ずる怪物をいう。ちみ。
すぢがねスジ…[筋金] (名)刀の鞘や槍の柄などに嵌め込む細長い金属。また、門の扉の目板などに張りつける細長い金属板。
すぢかふスジカウ[筋違ふ] (動、四)(1)すじかいになる。交叉する。ななめに相対する。枕草子、十「いかで筋かひても御覧ぜられむとて臥したれば」(2)他と異なることをする。違う。そむく。反する。浜松中納言、四「あまり世にすぢかひて、すずろなる山籠りがちに物せさせ給ふ。ひがひがしきやうなり」
すぢなしスジナシ[筋なし] (形、ク)(1)しかたがない。なすべき方法がない。水鏡、中「行者の母を召し捕られたりしをり、すぢなくて母に代はらむがために、行者まゐられしを」(2)筋が通らない。つまらない。ばかばかしい。
ずちなし[術なし] (形、ク)「ずち」は「術」の呉音。「じゆち」の転。しかたがない。困り果てる。大鏡、三、太政大臣忠平「腰の痛く侍りつれば、ずちなくてぞ通りつれど、なお石畳をばよきてぞまかりつる」
すぢなはスジナワ[筋縄] (名)血統。ちすじ。大鏡、五、太政大臣兼通「ことに出でて心の中に知らるるは神のすぢなは引けるなりけり」
すぢめスジ…[筋目] (名)(1)線の互に分かれるところ。(2)家筋。家系。(3)条理。すじみち。
すぢりもぢるスジリモジル (動、四)(1)身をひねりくねらせる。宇治拾遺、一、鬼に瘤取らるる事「翁、伸びあがり屈まりて、舞ふべき限り、すぢりもぢり、えいごゑを出して一庭を走りまはり舞ふ」(2)ひねくれる。だだをこねる。
すぢるスジル (動、四)身を曲げてくねらせる。ねじる。徒然草、百七十五段「年老いたる法師召し出されて、黒くきたなき身を肩ぬぎて、目もあてられず、すぢりたるを」
すつぱ (名)(1)まわしもの。間者。忍びもの。(2)すり。盗賊。詐欺。かたり。すっぱの皮。
すつぱり (副)すっかり。全く。ことごとく。
すで[素手] (名)手に何も持たないこと。からて。てぶら。
すてことば (名)すてぜりふ。
すてぢよ…ジヨ[捨女] (人名)江戸時代の女流俳人。姓は田(でん)。丹波の人。北村季吟に和歌・俳句を学んだ。元祿十一年(1698)没、年六十四。
すてぶち[捨扶持] (名)江戸時代、老幼・婦女・癈疾者などに施し与えた扶持米。(2)役に立たない者に与える扶持。
すてぶね[捨舟] (名)「すてをぶね」に同じ。
すてむち[捨鞭] (名)馬の尻をはげしくむちうつこと。
すてをぶね…オ…[捨小舟] (名)乗り捨てて、人のない舟。多く、たよりのない、あわれな身の上にたとえていう。太平記、二、俊基朝臣再関東下向事「浜名の橋の夕潮に、ひく人もなき捨小舟、沈みはてぬる身にしあれば」
すど[簀戸] (名)(1)竹で編んで造った戸。奥儀抄「あらたまのすどが竹垣あみめより妹し見えずばあれ恋ひめやも」(2)簾で張った障子。(3)土蔵の網戸。
すど[数度] (名・副)数回。たびたび。しばしば。
すなご[砂子] (名)(1)「ご」は「小」または「粉」か。あるいは意味のない接尾語で、漢語における「子」すなわち「扇子」「金子」などの「子」の類か。「すな」のこと。いさご。更級日記「片つかたは、ひろ山なる所の砂子はるばると白きに、松原茂りて」(2)金・銀の箔を微細な粉末にして、画面・襖紙などに散布するもの。
すなどり[漁] (名)魚貝をとること。いさり。古事記、上「鳥の遊び、すなどりしに、みほのさきに往き」
すなどる[漁る] (動、四)魚介類をとる。いさる。
すなはちスナワチ (名)(1)その時。即時。万葉、[8-1505]「ほととぎす鳴きしすなはち君が家に行けと追ひしは至りけむかも」竹取「集まりて疾くおろさむとて、綱を引き過ぐして綱絶ゆるすなはちに、やしまの鼎の上にのけざまに落ち給へり」(2)最初。宇津保、蔵開、下「まろらが子は、すなはちよりふところにこそ入れ居たれ」落窪物語「ここは、すなはちより御夜中・暁のことも知らでやと嘆き侍りしかど」
すなはちスナワチ (副)即ち。そのまま。とりもなおさず。やがて。徒然草、八十八段「一時の懈怠(けたい)すなはち一生の懈怠となる。これを恐るべし。」
すなはちスナワチ (接続)(1)乃ち。そこで。そうして。かくして。古事記、上「かれ、すなはちかへりくだりて、更にその天の御柱をさきのごと往きむぐり給ひき」(2)則ち。そうすれば。そのようになる時は。
すなる (句)「するなる」の略。サ変動詞の連体形「する」に助動詞「なり」の連体形「なる」をつづけ、「る」を略したもの。するという。土佐日記「男もすなる日記(にき)といふものを、女もしてみむとてするなり」(男子が漢文体で書く日記を、女子である自分も和文体で試みようとするのだといって、女子をよそうて書いたもの)
すねあて[臑当] (名)鎧の具。臑を包みおおうもの。鉄で作り、また、布革に鉄板・鎖などをつけ綴って作る。鉄製のはばき。附図参照。
すのこ[簀子] (名)(1)竹を編んで作った簀(す)。手などを洗う時。台の上に広げるもの。(2)竹を割り並べて、台の上に固定せしめるもの。(3)細い板を横に並べ、少しずつ間を透かして打ちつけた濡れ縁。また、一般の縁側。源氏、帚木「かど近き廊の簀子だつものに尻かけて、とばかり月を見る」徒然草、十段「簀子・透垣(すいがい)のたよりをかしく」すのまた[洲俣](地名)「洲俣川」の略。「長良川」の別称。岐阜県にある木曾川の一支流。濃尾平野を西南に流れて岐阜市を過ぎ、更に南に折れて木曾川に入る。下流を「洲俣川」「墨股川」という。十六夜日記「洲俣とかやいふ川には、舟を並べてまさきの縄にやあらむ、かけとどめたる浮橋あり」太平記、十四、官軍引二退箱根一事あしか・洲俣を前に当てて、京近き国国に御陣を召され候へかしと申されければ」(「あしか」も川の名。洲俣に注ぐ)
すはスワ (感)人を驚かして告げ示す時、または、突然の出来事に驚いた時や困った時などに発する声。さあ。そら。更級日記「うちねぶりたる夜さり、御堂のかたより、すは、稲荷より賜はるしるしの杉よとて、物を投げ出づるやうにするに、うちおどろきたれば夢なりけり」「すは一大事」
ずはズワ(句) 否定の助動詞「ず」の連用形「ず」に助詞「は」の付いたもの。「ずして」の意。ないで。なくて。万葉、[2-86]「かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根し枕(ま)きて死なましものを」(こんなふうに恋いもだえてばかりいないで)同、[3-343]「なかなかに人とあらずは酒壺になりにてしかも酒に染(し)みなむ 大伴旅人」(かえって人間ではなくて)
すはうスオウ[素袍] (名)古くは「素襖」と書き、「すあを」「すあう」などと仮名をつかっている。「布の襖」「布の袍」の義。古くは庶人の常服、後に侍の礼服。その製は直垂(ひたたれ)に同じ。ただし、布地で五つ紋、下に長袴をつける。
すはうスオウ[蘇芳・蘇方・蘇枋] (名)(1)マライ語のSopanの転という。熱帯地方に産する木の名。その材は楊弓などに作り、その削り片を煮て染料とする。(2)染色の名。蘇芳の木の煮汁で染めた黒みを帯びた赤色。土佐日記「貝の色はすはうにて」(3)襲の色目。表は白、裏は濃い蘇芳色。一説、表は蘇芳色、裏は赤。源氏、若菜、下「わらはは、素色に蘇芳の汗衫(かざみ)」
すはうのないしスオウ…[周防内侍] (人名)平安時代の女流歌人。周防守平継仲の女。白河天皇の女房。または、後冷泉天皇の女房といい、後冷泉天皇以後四代に仕えた女官。その詠歌は、「後拾遺集」「金葉集」「詞花集」「千載集」「新古今集」等に収む。生没年未詳。徒然草、百三十八段「周防内侍が、かくれどもかひなきものはもろともにみすのあふひの枯れ葉なりけり、と詠めるも」
すはえスワエ[楚・■] (名)(1)「すくすくと生えたもの」の義。木の枝の若く細長くまっすぐなものをいう。枕草子、十「社は…二つを並べて、尾のかたに細きすはえをさし寄せむに」宇治拾遺、一「童、すはえを持ちて遊びけるままに来たりけるが」(2)刑具の名。しもと。木のむち。また、■で行う刑の名。孝徳紀、大化二年三月「若し教ふる所に違はば、次官(すけ)以上をばその爵位をおとし、主典(ふむひと)以下をば、かのほそきすはえ、ふときすはえとさだむ」
ずはえズワエ[楚・■] (名)前項の訛。
すばし[簀椅・簀橋] (名)竹で編んだすのこ。古事記、中「さなかづらの根を舂(うすづ)き、その汁の滑(なめ)を取りて、その船の中の簀椅に塗りて、踏みて仆るべく設(ま)けて」
すばなる[素離る] (動、下二)ひとり、離れている。源氏、御法「今宵はすばなれたるここちして」
すはのうみスワ…[諏訪の海] (地名)「諏訪湖」のこと。長野県諏訪郡にある湖水。古事記、上「追ひ往きて、科野(しなの)の国のすはのうみに迫(せ)め到りて殺さむとしたまふ時に」
すはひスワイ[牙僧] (名)「すあひ」の誤り。
すはま[洲浜] (名)(1)洲のある浜辺の、でこぼこしたところ。砂地の海岸。宇津保、楼上、下「その水のさま、すはまのやうにて」(2)洲のある浜辺の、でこぼこしたさまにかたどったものの上に、木石・花鳥などを置き、饗宴の席の飾り物とする台。島台。宇津保、藤原の君「かくて例の宰相は、島のいとをかしき洲浜に、千鳥の往き違ひたるなどして、それにかく書きつく」古今集、五、秋下「同じ御時せられける菊合せに洲浜をつくり菊の花植ゑたりけるにくはへたりける歌 菅原朝臣」
すばまる[統まる] (動、四)一つにまとまる。統一に帰す。
すばら[素腹] (名)子を、はらまない婦人。子なし。うまずめ。大鏡、三、太政大臣頼忠「弁の内侍、顔をさしいだして、御妹のすばらのきさきはいづくにかおはすると聞えかけたりけるに」
すばる[昴] (名)牡羊座にある散開星団プレアデスの和名。写真には二千箇以上感光する。数星が統べくくられたさまをしているところから来た名という。昔は、六連星(むつらぼし)などと称し、六つの星の連なったものと見、のち七つまたは九つ観測され、九曜の星などとも呼ばれた。枕草子、十「星は、すばる・ひこぼし・みやうじやう」
すばる (動、四)(1)「すばまる」に同じ。(2)ちぢまる。ちぢみ固まる。(3)狭くなる。せばまる。(4)口をすぼめて発音する。
すびき[素引・白引] (名)(1)弓に矢を矧(は)がないで、弦だけを引くこと。(2)ただ口先だけで強弓を誇ること。太平記、二十九、将軍上洛事「白引の精兵、鼻水練のことばにおづる人あらじ」
すひぢにのかみスヒジニ…[須比智邇の神] (神名)日本神話にあらわれた第一の男女一対の神の女神。「うひぢにのかみ」に対する。「書紀」には「沙土煮尊・沙土根尊」とあり、「須」は「砂」、「比智」は「泥土」の義で、大地が砂をまじえた泥土の状態にまで形成せられた事を意味する神名。古事記、上「次に成りませる神のみ名は、うひぢにの神、次に妹(いも)すひぢにのかみ」
すびつ[炭櫃] (名)「すみびつ」の略。いろり。炉。枕草子、一「春はあけぼの…昼になりて、ぬるくゆるびもてゆきば、すびつ・火桶の火も、白き灰がちになりぬるはわろし」(「火桶」は「まるい火鉢」)
すぶ[統ぶ] (動、下二)(1)統治する。支配する。古事記、序文「乾符を握りて六合をすべ」(2)率いる。統率する。孝徳記、白雉四年七月「皇太子乃ち…皇弟(いろと)たちをすべて、往きて倭の飛鳥河のほとりの行宮(かりみや)にまします」(3)集合せしめる。神代紀、下「一に云く…わたつみの神、ここに海のうをどもをすべつどへて、その鉤(ち)を覓(もと)め問ふ」
すぶすぶ  品詞は名詞か副詞か感動詞か定めがたい。口のすぼまっているさま。一説、火の燃える音の擬声語。古事記、上「鼠来て言ひけるは、内はほらほら、外(と)はすぶすぶ」
すべ[術] (名)すべき方法。手段。てだて。しかた。万葉、[2-207]「言はむすべせむすべ知らに」
すべ[皇] (接頭)「統ぶ」の連体形「統ぶる」の転で、「統治する」「支配する」の義から「神」「御祖(みおや)」「御孫(みま)」「天皇」「皇族」等の名詞に上に付ける敬称。すべら。すめ。すめら。すめろ。
すべがみ[皇神] (名)「神」の尊称。古今六帖、四「すべ神のみ山の杖は山人の千年の祈りにきれる杖なり」
すべからく[須く] (副)「すべくあらく」の約。ぜひとも。当然。下で「べし」と受けるのを常とする。徒然草、二百十七段「徳をつかむと思はば、すべからくまづその心づかひを修行すべし」(「徳をつかむ」は「利徳(富)を得よう」)
すべからくは…ワ[須くは] (句)前項参照。すべきことは。大鏡、一「すべからくは、神武天皇を始め奉りて、つぎつぎのみかどの御次第をおぼえ申すべきなり」
すべらす[滑らす] (動、四)(1)すべらせる。そっと着物を脱ぐ。源氏、■「おんぞをすべらし置きて、ゐざり退き給ふ」(2)垂れ下げる。(3)なめらかに磨き洗う。
すべむつ[皇睦] (名)「すべ」は「神」「天皇」などの敬称をあらわす接頭語、「むつ」は「むつむ」義。天皇の御親族。皇族。すめむつ。祝詞、祈年祭「高天原にかむづまりますすべむつかむろぎの命」(「すめらがむつ」ともよむ。意は同じ)
すべら[皇] (接頭)「統ぶ」の連体形「統ぶる」の転。「すべ」に同じ。
すべらかし[滑らかし] (名)(1)すべらかせること。(2)婦人の髪の末を背中まですべらかせ、長く垂れ下げること。おすべらかし。さげがみ。
すべらがみ[皇神] (名)「神」の尊称。「すべがみ」に同じ。
すべらぎ[天皇] (名)天の下を統べしろしめす大君。天皇。すべらみこと。すめらぎ。すめろぎ。古今集、序「かかるに、今すべらぎの天の下しろしめすこと、四つの時ここのかへりになむなりぬる」
すべる (動、四)(1)なめらかに、すらすらと進む。源氏、夕霧「馬よりすべりおりて」(2)すわったまま、移動する。にじり移る。源氏、若紫「しひて引き入り給ふにつきて、すべり入りて」(3)そっと退出する。こそこそと、逃げるように出て行く。竹取「皇子(みこ)は立つもはした、居るもはしたにて居給へり。日の暮れぬれば、すべり出で給ひぬ」(4)御位を去らせ給う。平家、一、清水炎上「主上は二歳にて御禅を受けさせ給ひて、わづか五歳と申しし二月十九日に、御位をすべりて、新院とぞ申しける」
すぼし[窄し] (形、ク)(1)すぼんで細い。(2)みすぼらしい。肩身がせまい。方丈記「もし貧しくして、富める家の隣にをる者は、朝夕すぼき姿を恥ぢてへつらひつつ出で入る」
ずほふ…ホウ[修法] (名)「しゆほふ」とも読む。密教で、加持祈■をする方式。枕草子、五「あつげなるもの…六、七月のずほふの阿闍梨(あざり)」
すま[須磨] (地名)今の神戸市の須磨区。古来、明石と共に名勝の地として知られている。西国街道の一宿駅。
すまし (名)(1)洗い清めること。洗浄。(2)湯殿の掃除などに仕える下級の女房。枕草子、四「おほやけ人・すまし・をさめなどして、絶えずいましめにやり」
すます[清ます・洗ます] (動、四)洗い清める。古事記、上「赤鯛ののみどを探れば、つりばりあり。すなはち、取り出でてすまして、ほをりの命の奉る」
すます[澄ます] (動、四)(1)水などを澄むようにする。(2)おちつかせる。しずめる。平家、十二、土佐房被レ斬「一天を鎮め、四海を澄ます」(3)真面目な顔をする。気どる。
すます[済ます] (動、四)(1)なしとげる。はたす。おおせる。平家、九、宇治川「舎人に心を合はせて、さしも御秘蔵の生食を盗みすまして上りさうはいかに梶原殿、と言ひければ」(2)借りた物を返済する。(3)掛金を払う。
すまのうら[須磨の浦] (地名)神戸市須磨区の海辺。古来、名勝をもってあらわれている。謡曲、阿漕「淡路潟通ふ千鳥の声聞きて、旅の寝覚めも須磨の浦」
すまのせき[須磨の関] (地名)今の神戸市須磨区の西、源光寺の辺に設けられた関所。枕草子、六「関は、逢坂の関・須磨の関」金葉集、四、冬「淡路島かよふ千鳥の鳴く声にいくよねざめぬ須磨の関守 源兼昌」⇒あはぢしま。
すまひスマイ[相撲] (名)(1)「すもう」のこと。(2)「すもうとり」のこと。枕草子、十「ことばなめげなるもの…かんなりの陣の舎人、すまひ」(3)「すまひのせちゑ」の略。
すまひのせちスマイ…[相撲の節] (名)次項に同じ。
すまひのせちゑスマイノセチエ[相撲の節会] (名)平安時代、禁中の年中行事の一。諸国からすもうとりを召し、七月二十六日に仁寿殿で内取(うちとり)を行い、同二十八日に紫宸殿で本勝負を行った。すまひのせち。すまひ。
すまふスマウ[争ふ] (動、四)(1)あらそう。抵抗する。伊勢物語「女も、いやしければすまふ力なし」(2)辞退する。謝絶する。ことわる。枕草子、一「草子に歌一つ書けと、殿上人に仰せられけるを、いみじう書きにくくすまひ申す人人ありけるに」
すみうかる[住み浮かる] (動、下二)住所におちつかないで、方方へ浮かれ歩く。
すみうし[住み憂し] (形、ク)住みにくい。住みづらい。
すみがき[墨書] (名)墨だけで絵をかくこと。また、その絵。彩色しない絵。源氏、帚木「絵所にじやうず多かれど、墨がきに選ばれて」
すみぎ[炭木] (名)焼いて炭にする木。
すみぎ[隅木] (名)四方ふきおろしの家の、四隅に斜に渡す大きな椽(たるき)。
すみぞめ[墨染] (名)(1)黒く染めた衣。僧衣。(2)鼠色に染めた喪服。源氏、柏木「いであな心憂、すみぞめこそなほいとうたて目もくるる色なりけれ」
すみぞめごろも[墨染衣] (名)前項に同じ。
すみぞめの[墨染の] (枕詞)その色から「ゆふべ」「たそがれ」「くらき」などに冠する。例を略す。
すみたいぎ[炭太祗] (人名)江戸時代の俳人。江戸の人。のち、京都に住み、不夜庵と号した。明和八年(1771)没、年六十二。主著、太祗句選。
すみだがは…ガワ[隅田川] (地名)東京都を流れる大河。昔は、下総と武蔵との両国の境をなした。今も、「両国橋」などに、その名をのこしている。伊勢物語「武蔵の国と下総の国とのなかに、いと大きなる河あり。それをすみだがはといふ」更級日記「武蔵と相模との中にゐて、あすだ川といふ。在五中将の、いざこと問はむと、よみけるわたりなり。中将の集には、すみだ川とあり」(「更級日記」の著者の誤りである)
すみだはら…ダワラ[炭俵] (書名)俳諧七部集の一。二冊。元祿七年(1694)刊。芭蕉・野坡・嵐雪・許六その他の俳句を集めたもので、蕉風三変論の後期を代表する「軽み」の基調を示すものとして重視される。芭蕉の門人、志田野坡・小泉孤屋・池田利牛の編。
すみつく[住み着く] (動、四)(1)住んでおちつく。安んじて住みつづける。(2)男が女の許に通って、いよいよ夫婦となる。夫婦関係が定まって、おちつく。源氏、若紫、上「おほきおとどのわたりに今はすみつかれたりとな」
すみどころなきひと[住み所なき人] (句)(1)浮浪者。(2)独身者。宇津保、藤原の君「すみどころなき人をこそ、さもし給ふめれ」(「さもす」は「いやしめる」意か)
すみのえ[住江・住吉] (地名)「すみよし」の古称。「松」の名所。今の大阪市住吉神社がある。古事記、上「すみのえの三前(みまえ)の大神」万葉、[3-295]「すみのえの岸の松原遠つ神わが大君のいでましどころ」
すみのえ[住江・住吉] (地名)もと、丹後の国与謝郡。今の京都府熊野郡網野にある淡水湖。万葉、[9-1740]「春の日の霞める時に、すみのえの岸に出でゐて、釣り船の、とをらふ見れば」⇒とをらふ。
すみのえの[住江の] (枕詞)摂津(今の大阪)の住吉は、岸の松が名高いので、同音の「来し」「待つ」に冠する。拾遺集、十、神楽歌「すみのえの来しもせざらむもの故にねたくや人にまつをいはれむ」古今集、十五、恋五「久しくもなりにけるかなすみのえの待つは苦しきものにぞありける」
すみのえのつ[住吉の津・墨江の津] (地名)仁徳天皇の開かれた港。今の大阪市住吉区住之江町の辺。往時、重要な船着き場であった。古事記、下「墨江の津を定め給ふ」
すみのやま[須弥の山] (名)「しゆみせん」に同じ。
すみやく[速く] (動、四)急ぐ。いらだつ。詞花集、八、恋下「君をわが思ふ心は大原やいつしかとのみすみやかれつつ」
すみよし[住吉] (地名)摂津の「すみのえ」に同じ。
すみよし[住吉] (神社名)「住吉神社」の略。和歌の神として名高い。大阪市住吉区住吉町にある神社。表筒男命・中筒男命・底筒男命・息長帯姫命をまつる。徒然草、二十四段「ことにをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・住吉・三輪」
すみよし[住吉] (書名)平安時代にあった物語。住吉物語。今は伝わっていない。従って、内容も不明。枕草子、九「物がたりは、住吉、うつぼの類」
すみよしのうら[住吉の浦] (地名)摂津の「すみのえ」の海辺。更級日記「またの日、山の端に日のかかるほど、すみよしの浦を過ぐ」
すみよしものがたり[住吉物語] (書名)鎌倉時代に成った書。二巻。平安時代にあった「住吉物語」が散逸したのを、同名のままで、しかも「落窪物語」を粉本とした、ままこいじめの物語。著者も年代も不明であるが、だいたい亀山天皇の文永年間(1264-1274)ごろ成るか。
すむ[住む] (動、四)(1)常に居る所ときめる。すまふ。(2)男が女の許へ通い、夫婦のまじわりをする。夫として妻の許へ通う。竹取「世の人人、阿倍の大臣は、火鼠の皮衣もていまして、かぐや姫にすみ給ふとな。ここにやいます、など問ふ」
すむ[統む] (動、四)「統ぶ」に同じ。
すむづかりスムズカリ[酢むづかり] (名)大豆を炒って、まだ暖かいうちに酢をかけた食物。宇治拾遺、四「大豆を炒りて酢をかけけるを、何しに酢をばかくるぞそ問はれければ…酢をかけつれば酢むづかりとて、にがみてよくはさまるるなり」
すむやけし[速けし] (形、ク)すみやかである。速い。万葉、[15-3748]「他国(ひとぐに)は住み悪しとぞいふすむやけく早帰りませ恋ひ死なぬとに」(「とに」は「うちに」)
すめ[皇] (接頭)「すべ」に同じ。すめ神。すめ孫(みま)。すめ御祖(みおや)。
すめむつ[皇睦] (名)「すべむつ」に同じ。
すめら[皇] (名)天皇。すめらみこと。すめらぎ。
すめらあがむつ[皇我が睦] (句)天皇から皇祖神に対して愛敬の念をもって申す語。約して「すめらがむつ」ともいう。
すめらぎ[天皇] (名)「すべらぎ」に同じ。
すめらぎみ[天皇] (名)前項に同じ。
すめらみこと[天皇] (名)前項の同じ。
すめろぎ[皇祖・天皇] (名)(1)皇祖皇宗。万葉、[3-322]「皇神祖(すめろぎ)の神のみことの敷きいます国のことごと」(2)天皇。すべらぎ。すめらぎ。すめらぎみ。すめらみこと。
すもり[巣守] (名)(1)まだかえらないで巣にある卵。宇津保、藤原の君「あて宮に、すもりなり始むるかりのこ、ごらんぜよとて奉れば」(2)物のとりのこされていること。(3)女が空閨を守っていること。
すもりご[巣守児] (名)前項(1)に同じ。
すやり[素槍・直槍] (名)穂先のまっすぐな槍。「十文字槍」「鎌槍」などに対する語。
すら (助詞)第三類、副助詞。一を挙げて、他を推測させる意をあらわす。「だに」とほとんど同じ。さえ。金槐集「ものいはぬ四方(よも)のけだものすらだにも哀れなるかなや親の子を思ふ」「三尺の童子すらこれを知る」
すり[修理] (名)つくろいなおすこと。しゅうい。しゅうぜん。枕草子、八「ものかしこげに、なだらかにすりして」
すり[■] (名)旅行用の籠。宇津保、吹上、上「蘇枋の■ひとかけ、いろいろのからの組をこめにしたり」」
すりかりぎぬ[摺狩衣] (名)摺模様のついた狩衣。宇津保、俊蔭「子の料に、きぬの指貫、摺狩衣、袿、うちばかまなど袋に入れて持たせて」
すりごろも[摺衣] (名)山藍・月草その他の草の汁で摺り、模様をつけた着物。伊勢物語「春日野の若紫のすりごろもしのぶの乱れ限り知られず」
すりしき[修理職] (名)「しゆりしき」ともいう。禁中のやぶれを修理し、また、造営などをつかさどる役所。源氏、桐壺「里の殿は、すりしき・たくみづかさに宣旨くだりて、二なうあらためつくらせ給ふ」(名)「しゆりしき」ともいう。禁中のやぶれを修理し、また、造営などをつかさどる役所。源氏、桐壺「里の殿は、すりしき・たくみづかさに宣旨くだりて、二なうあらためつくらせ給ふ」
すりしき[修理職] (名)「しゆりしき」ともいう。禁中のやぶれを修理し、また、造営などをつかさどる役所。源氏、桐壺「里の殿は、すりしき・たくみづかさに宣旨くだりて、二なうあらためつくらせ給ふ」
すりめ[摺目] (名)摺り模様の筋目。紫式部日記「裳は海部をおりて、大海(おほうみ)のすりめにかたどれり」
すりも[摺裳] (名)物のかたを摺った裳。
すりもどろかす[摺りもどろかす] (動、四)入り乱れた模様を摺りつける。枕草子、六「摺りもどろかしたる水干袴にて」
すりもやう…モヨウ[摺模様] (名)摺りつけて出した模様。
ずいやう…リヨウ[受領] (名)(1)国司の官に任ずること。(2)国司として赴任して、行政の任に当たる首席の者。守(かみ)。枕草子、八「受領は、紀伊の守、和泉」源氏、帚木「受領といひて、ひとの国のことにかかづらひ営みて」(「ひとの国」は京に対して「地方」をいう)
するがまひ…マイ[駿河舞ひ] (名)神楽の類。上代の駿河地方の俚謡に伴う舞踊で、摺衣を着た六人の者が舞う。あづまあそび。枕草子、九「まひは、するがまひ」
すゐスイ[粋] (名)(1)まじりけのないこと。純粋。また、最もりっぱであること。(2)江戸時代、ある種の都会人などによろこばれた一種の気風。世の中の酸いも甘いも経験して人間生活の表裏によく通じていること。ことに、遊里・遊女・芸人等の社会に通じ、男女間の情事などにも理解のあること。また、そうした人。服装・ことばなども、それにふさわしい。いき。つう。「野暮」の対。
ずゐズイ[瑞] (名)めでたいしるし。いしるし。吉兆。古事記、序文「柯を連ね、穂をあはすの瑞」=枝を連ねた木や、穂の一つに合わさった稲などの吉兆。
すゐえいスイ…[垂纓] (名)冠の纓を後ろに垂れること。臣下は、巾子より高くしないのが例。
すゐかうスイカウ[推敲] (名)詩文の語句をねること。唐の詩人賈島の故事に基づく。
すゐかんスイ…[水干] (名)(1)水張りして干した衣。(2)装束の一。狩衣に似て、菊綴(きくとじ)をひとところに二つずつ付け、胸紐は、前は襟の上角に、後ろは襟の中央にある。色は白色が普通。直垂の袴に似た袴を着る。附図参照。平家、一、妓王「水干に立烏帽子、白鞘巻を差いて舞ひければ、男舞ひとぞ申しける」
ずゐぐきやうズイグキヨウ[随求経] (書名)経文。一巻。「仏説随求即時大自在陀羅神呪経」の略。唐の宝思惟の訳。枕草子、九「経は…普賢十願・随求経」
ずゐぐだらにズイグ…[随求陀羅尼] (名)経文の名。求願に随って陀羅尼の効力を生ずる経文。⇒だらに。宇治拾遺、一「その額の疵はいかなることぞと問ふ。山伏…これは随求陀羅尼を籠めたるぞと答ふ」
すゐこじだいスイコ…[推古時代] (名)推古天皇の時代。「あすかじだい」に同じ。その項を見よ。
すゐさうスイソウ[水晶] (名)「すいしょう」のこと。枕草子、三「あてなるもの…すゐさうの数珠(ずず)」
ずゐさうズイソウ[瑞相] (名)(1)めでたい前兆。吉兆。また、めでたい人相。(2)誤って、前兆。方丈記「世の乱るる瑞相」
すゐじやくスイ…[垂迹・垂跡] (名)仏が仮に神としてこの世に現れること。⇒ほんちすゐじやく。神皇正統記、二「誉田(ほんだ)はもとの御名、八幡(やはた)は垂迹の号なり」
ずゐじんズイ…[随身] (名)(1)伴って従い行くこと。また、その人。(2)身に従えること。携帯すること。古今著聞集、六、管絃歌舞「若し笙や随身したると、御尋ねありけるに」(3)近衛の舎人で、弓矢を携え帯剣して供奉する者の弥。」
すゐたスイ[吹田] (地名)摂津の国、大阪府三島郡の西南隅、神崎川左岸、今の吹田市。古く、「吹田の庄」「吹田の御厨」としてあらわれている。増鏡、五、内野の雪「また、太政大臣(おほさおとど)の津の国吹田の山庄にも、いとしばしばおはしまさせて」
すゐたいスイ…[翠黛] (名)(1)みどり色のまゆずみ。また、まゆずみをほどこした美しい眉。(2)転じて、みどり色の美しい山の形容。平家、灌頂、大原御幸「緑羅の垣、翠黛の山」
ずゐぶんズイ…[随分] (名)身分相応。源氏、帚「随分によろしきも多かりと見給ふけれど」宇治拾遺、十一「出家随分の功徳とは、今始めたることにはあらねども」
ずゐぶんズイ…[随分] (副)分に相応して。転じて、一方ならず。すこぶる。平治物語、三、頼朝義兵を挙げらるる事「忠致・景致も随分血気の勇者にて、抜群の者なりしかども」
すゑスエ[末] (名)(1)終り。のち。しも。末尾。(2)さき。はし。「上方の枝」「剣の尖端」「山の頂」などにいう。(3)川しも。下流。(4)起点。もと。千載集、四、秋上「をみなへし靡くを見れば秋風の吹き来る末もなつかしきかな」(5)子孫。後胤。古事記、上「あづみのむらじらは、このわたつみの神のみ子、うつしひがなさくの命のすゑなり」(6)末の子。末子。(7)のち。未来。以後。ゆくさき。万葉、[12-3149]「あづさ弓末は知らねど愛(うつく)しみ君にたぐひて山路越え来ぬ」(「あづさゆみ」は「末」の枕詞)(8)短歌の下二句。伊勢物語「かち人の渡れど濡れぬえにしあればと書きて、末はなし」(9)身分の低い者。めしつかい。末輩。徒然草、百三十七段「若く末末なるは宮仕へに立ちゐ」=若くて末輩の人人は、お給仕などのために立ったりすわったりしていて(行列を見る暇もない)。
すゑつむはなスエツム…[末摘花] (名)「べに花」の別称。末から咲きそめるのを摘み取る意から来た名。
すゑなしスエ…[末なし] (句)(1)子孫がない。大鏡、六、右大臣道兼「人にはいみじくおぢられ給へりし殿の、怪しく末なくてやみ給ひきに」(2)終りまでやりとげない。源氏、夕霧「三の宮の同じごと身をやつし給へる、末なきやうに人の思ひいふも、捨てたる身に思ひなやむべきにはあらねど」
すゑのまつやまスエ…[末の松山] (地名)歌枕の一。陸前の国、宮城県宮城郡岩切の附近にある地。海辺の砂丘に多くの松があり、時として高波がこの松山を越えることもあると信じられていたらしい。しかし、それは、めったにないこととしている。古今集、二十、東歌「君をおきてあだし心をわがもたば末の松山なみも越えなむ」枕草子、一「山は…末の松山」奥の細道「末の松山は寺を造りて末松山といふ」後拾遺集、十四、恋四「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山なみこさじとは 清原元輔」=お互に涙で袖をしぼりながら、どんなことがあろうとも、末の松山を波が越すようなことなく、末ながく心変わりはしまいと契りあったことでありましたね。それなのに、心変わりがしたとはなさけないお方です。(詞書に「心変はり侍りける女に、人に代はりて」とある)
すゑひろスエ…[末広] (名)(1)末の方がひろがること。方丈記「吹きまよふ風に、とかく移り行くほどに、扇をひろげたるがごとく末広になりぬ」(2)転じて、「扇」をいう。
すゑひろがりスエ…[末広がり] (名)前項に同じ。
すゑふゆスエフユ[末ふゆ] (句)先の方が氷のように見える。一説に、先の方が、ぶるぶるとふるえている義と。古事記、中「ほむだの、ひのみこ、おほさざき、おほさざき、はかせるたち、もとつるぎ、すゑふゆ、ふゆきのす、からがしたきの、さやさや」=誉田の皇子、大雀の命、その大雀の命の帯びていられる太刀を拝すると本の方は諸刃の剣でよく切れそうであり、末の方は氷のようにきらきらし、たとえば冬枯れで葉の落ち尽くした木が、霜や氷に冴えてきらきらするその冬の木のように、剣身の到るところが、さやさやと凄くきらめいているよ。(「ふゆきのす」は「冬木如す」)
すゑべスエ…[末辺] (名)末の方。「もとべ」の対。古事記、中「もとべは、きみをおもひで、すゑべは、いもをおもひで」=一方では、君(父君応神天皇または大山守の命)のことを思い出し、一方では、妹(応神天皇の皇后または大山守の命の妹)を思い出し。
すゑものスエ…[陶物] (名)やきもの。せともの。陶器。
すゑmのスエ…[据え物] (名)(1)飾りつけて置くもの。置き物。(2)土壇に罪人の屍などを据えて、刀剣のためし斬りをすること。また、そのもの。
ずん[順] (名)「じゆん」に同じ。紫式部日記「盃のずん来るを大将はおぢ給へど」
すんいん[寸陰] (名)一寸の光陰。わずかな時間。徒然草、百八段「寸陰惜しむ人なし」
すんか[寸暇] (名)少しのひま。寸陰。
ずんざ[従者] (名)「ずさ」「じゆしや」に同じ。使用人。枕草子、九「したりがほなるもの…わづかにあるずんざのなめげにあなづるもねたしと思ひ聞えながら」
ずんず[誦ず] (動、サ変)詠む。吟ずる。歌う。伊勢物語「うたをかへすがへすずんじ給うて」
すんだいざつわ[駿台雑話] (書名)随筆書。五巻。室鳩巣の著。享保十七年(1732)成る。学術および道徳等に関する著者の感懐を述べたのも。和漢混淆体の名文である。(正しくは「しゆんだい■」と読むべきであると)
すんだいせんせい[駿台先生] (人名)室鳩巣の敬称。江戸神田の駿河台に住んでいたのでいう。⇒むろきうさう。
ずんながる[順流る] (動、下二)(1)盃が順を追うてめぐる。源氏、松風「大御酒、あまたたびずんながれて」(2)順を追うて移る。増鏡、一、おどろのした「つぎつぎ、ずんながるめりしかど、さのみはうるさくてなむ」
すんぷ[駿府] (地名)「静岡市」の旧称。「駿河府中」の略。昔、駿河の国の国府の所在地。徳川家康の隠栖地として名高い。駿台雑話、一、妖は人より興る「むかし駿府の御城に、うはぎつねといひ伝へし狐あり」

Page Top