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丸山林平「定本古事記」

- 上巻 -

【 古事記上巻忸序 】

原 文
於レ是、天皇詔之、咏聞跳家館レ齎帝紀及本辭、蝉蕋二正實、多加二癪僞。當二今之時、不レ改二其失、未レ經二幾年、其旨欲レ滅。斯乃邦家之經緯、王化之鴻基焉。故惟、厨二│札帝紀、討二│覈舊辭、削レ僞、定レ實、欲レ流二後葉。時有二舎人、姓稗田、名阿禮、年是廿八。爲レ人聰明、度レ目誦レ口、拂レ耳勒レ心。來勅二│語阿禮一令レ誦二│帰帝皇日繼及先代舊辭。然、蓿移世異、未レ行二其事一矣。
読み下し文
ここにおいて、天皇詔りたまひけらく、「朕聞かくは、諸家の齎る帝紀と本辞、既に正実に違ひ、多く虚偽を加ふと。今の時に当たりて、其の失を改めざれば、未だ幾の年を経ずして、其の旨滅びなむとす。斯乃ち邦家の経緯にして、王化の鴻基なり。故惟、帝紀を厨録し、旧辨を討覈して、偽を削り実を定めて、後の葉に流へむとす。」と、のりたまひき。時に舎人あり。姓は稗田、名は阿礼、年は二十八。人となり聰明にして、目に度れば口に誦み、耳に払るれば心に勒す。即ち阿礼に勅語して、帝皇の日継と先代の旧辞とを誦み習はしめたまふ。然れども、運移り世異りて、未だ其の事行なはれざりき。
丸山解説
〔詔之〕延本は「詔云」に作る。いま、諸本および底本に従う。〔館レ齎〕諸本・底本等「齎」を俗字「匱」に作る。いま、延本の用いた正字に従う。また、延本は「所レ齎」を「ツタハル」と訓じ、底本は「モタルトコルノ」と訓じているが、本書は「もたる」と訓ずることとする。「もたり」(ラ変)は「持ちあり」の約で、持っている意。「もたる」は、その連体形である。もっとも、「所」の文字を活かして「もたれる」と訓ずるも可。〔帝紀及本辭〕「及」は「と」と訓ずる。記の本文でも「および」と訓じないのが例である。
田中孝顕 注釈

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