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丸山林平「定本古事記」

- 中巻 -

【 神武天皇 】

原 文
然而、其弟宇聟斯之、獻二大饗一隅、悉賜二其御軍。此時、歌曰、 宇陀能 多加紀爾 志藝和那波留 和賀揺綾夜 志藝波佐夜良受 伊須久波斯 久治良佐夜流 古那美賀 那許波佐婆 多知曾婆能 砲能那豆久袁 許紀志斐惠泥 宇波那理賀 那許波佐婆 伊知佐加紀 砲能意富豆久袁 許紀陀斐惠泥 亞亞【音引】志夜、胡志夜。此隅伊碁能布曾。【此五字、以レ音。】阿阿【音引】志夜、胡志夜。此隅嘲恁隅也。故、其弟宇聟斯、【此隅、宇陀水取等之督也。】
読み下し文
然して、其の弟宇聟斯、大饗を献りければ、悉に其の御軍に賜はりき。此の時、歌曰みしたまひしく、 (一〇) 宇陀の 高城に 鴫罠張る 我が待つや 鴫は障らず いすくはし くぢら障る 老妻が 食請はさば たちそばの 実の無けくを こきしひゑね 若妻が 食請はさば いちさかき 実の多けくを こきだひゑね 亜亜【音を引く】しや、こしや。此は伊碁能布曽。【此の五字、音を以ふ。】阿阿【音を引く】しや、こしや。此は嘲咲ふ者也。故、其の弟宇聟斯、【此は宇陀の水取らの祖なり。】
丸山解説
〔多加紀〕「高城」の意。「き」は「城」ではなく、高い地に一画を成した自然の地形。〔志藝和那〕鴫をとろうとする罠。〔佐夜流〕障る。(わなに)かかる。触れる。〔伊須久波斯〕諸説があるが、筆者は「いすかのはしと食いちがい」の意と解したい。〔久治良〕鯨。ただし、大和の山中に鯨のいようはずなく、「鯨のような大物」すなわち兄宇聟斯を指したのであろう。大言海は「鷹ら」と解しているが無理である。〔古那美〕前妻の意ではなく、年老いた妻の義。これまた、兄宇聟斯をいう。〔那〕食。「魚」のことではない。魚を請うのに、「木の実を与えよ」では意を成さぬ。〔多知曾婆〕「立杣」の転か。また、「そば」は「狭葉」の転とも見られる。いずれにせよ、実のならない木。和名抄に「柧稜、曽波乃岐。」とあるが、これは角材である。山に生えている角材などは考えられぬ。
田中孝顕 注釈

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