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丸山林平「定本古事記」

- 中巻 -

【 応神天皇 】

原 文
於レ是、天皇、問三大山守命與二大雀命一詔、汝等隅、孰三│愛、兄子與二弟子。【天皇館三以發二是問一隅、宇遲能和紀輙子、有下令レ治二天下一之心上也。】爾、大山守命、白レ愛二兄子。筱大雀命、知下天皇館二問賜一之大御菷上而白、兄子隅、蝉成レ人、是無レ悒。弟子隅、未レ成レ人、是愛。爾、天皇、詔、佐邪岐阿藝之言、【自レ佐至レ藝五字、以レ音。】如二我館レ思。來詔別隅、大山守命、爲二山恭之政。大雀命、執二食國之政一以白賜。宇遲能和紀輙子、館レ知二天津日繼一也。故大雀命隅、勿レ蕋二天皇之命一也。
読み下し文
ここに、天皇、大山守命と大雀命とに問ひて詔りたまひけらく、「汝等は、兄子と弟子と、孰か愛しき。」と問ひたまひき。【天皇の是の問を発したまへる所以は、宇遅能和紀郎子に、天の下を治しめさせむとする心あればなり。】爾に、大山守命は、「兄子ぞ愛しき。」と白したまひき。次に大雀命は、天皇の問ひ賜へる大御情を知らして白したまひけらく、「兄子は、既に人と成れば、是は悒きことなし。弟子は、未だ人と成らざれば、是ぞ愛しき。」と、まをしたまひき。爾に、天皇、詔りたまひけらく、「佐邪岐阿芸の言、【佐より芸に至る五字、音を以ふ。】我が思ほす如くなり。」と、のりたまひ、即ちに詔り別けたまひけらくは、「大山守命は、山海の政を為せ。大雀命は、食す国の政を執り以ちて白し賜へ。宇遅能和紀郎子は、天津日継知らせ。」と、のりわけたまひき。故、大雀命は、天皇の命に違ひまつること勿かりき。
丸山解説
〔孰愛〕いづれかはしき。「いづれかうつくしき」と読むも可。「はし」「うつくし」、いずれも、いとしい、かわいい意。〔兄子・弟子〕えこ・おとこ。記では「兄・弟」と並べていう時は「え・おと」という。「えうかし・おとうかし」「えひめ・おとひめ」など。「兄なる子・弟なる子」の意。紀では「長・少」に作り、「ひととなれる・わかき」などと訓じている。記の「えこ・おとこ」も意は紀に同じ。〔悒〕いぶせき。「いぶせし」の連体。不安である。心配である。憂えるべきである。
田中孝顕 注釈

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