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丸山林平「定本古事記」

- 下巻 -

【 履中天皇 】

原 文
故、參二│出石上突宮、令レ奏二天皇、政蝉徘訖、參上侍之。爾、召入而相語也。天皇、於レ是、以二阿知直一始任二藏官、亦給二粮地。亦、此御世、於二若櫻部臣等、賜二若櫻部名。又、比賣陀君等、賜レ姓謂二比賣陀之君一也。亦、定二伊波禮部一也。天皇之御年陸拾肆歳。御陵在二毛受一也。
読み下し文
故、石上の神宮に参出て、天皇に奏さしめたまひけらく、「政既に平け訖へて、参上りて侍ふ。」爾、召し入れて、相語らひたまひき。天皇、ここに、阿知直を始めて蔵の官に任けたまひ、亦粮地を給ひき。亦、此の御世に、若桜部臣等に、若桜部の名を賜ひ、又、比売陀君等に、比売陀之君と謂ふ姓を賜ひき。亦、伊波礼部を定めたまひき。天皇の御年、陸拾肆歳、御陵は毛受に在り。
丸山解説
〔石上突宮〕いそのかみのかむみや。既出。底本の訓「いそのがみのかみのみや」には従わぬ。〔令レ奏二天皇〕すめらみことにまをさしむ。従臣をして、天皇に奏せしめたのである。〔政蝉徘訖〕まつりごとすでにことむけをふ。「政」とは、「仕えまつる事」であり、ここでは天皇が、墨江中王を誅せよとのご命令をいう。「ことむけ」は既出。〔藏官〕くらのつかさ。「くらづかさ」ともいう。諸国から献じた珍奇な物、祭祀の奉幣、供進の御服、佳節の御膳、一切の宝物などのことをつかさどる役所をいう。ただし、ここはその役所の長官の意。〔粮地〕たどころ。「田地」「田荘」とも書く。「田地」の意であるが、のち「荘園」の意にも用いられた。ここは、米を産する田地。
田中孝顕 注釈

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