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丸山林平「定本古事記」

- 下巻 -

【 雄略天皇 】

原 文
是豐樂之日、亦春日之袁杼比賣、獻二大御酒一之時、天皇歌曰、 美那曾曾久 淤美能袁登賣 本陀理登良須母 本陀理斗理 加多久斗良勢 斯多賀多久 夜賀多久斗良勢 本陀理斗良須古 此隅、宇岐歌也。爾、袁杼比賣、獻レ歌。其歌曰、 夜須美斯志 和賀淤富岐美能 阿佐計爾波 伊余理陀多志 由布計爾波 伊余理陀多須 和岐豆紀賀斯多能 伊多爾母賀 阿世袁 此隅、志綾歌也。
読み下し文
是の豊楽の日、亦春日の袁杼比売が、大御酒を献れる時に、天皇、歌曰みしたまひけらく、 (一〇三) 水注く 臣の少女 秀辣執らすも 秀辣執り 堅く執らせ 下堅く 彌堅く執らせ 秀辣執らす子 此は、宇岐歌なり。爾に、袁杼比売、歌を献れり。其の歌に曰ひけらく、 (一〇四) やすみしし わが大君の 朝けには い倚り立たし 夕けには い倚り立たす 脇突が下の 板にもが あせを 此は、志都歌なり。
丸山解説
〔袁杼比賣〕乙江。この「杼」は「ト」の仮名であること、上にも述べてある。なお、真本は「杼」を「抒」に誤る。〔美那曾曾久〕水注く。枕詞。古来、諸説があるが、「水が注ぐ」または「水に浸る」ということから、水に縁のある「魚」「鮪」などに冠するとするのが、最も妥当な説である。ほかに複雑怪奇な説も多いが、いずれも首肯されぬ。ここでは「魚」と同音の「おみのをとめ」の「を」に冠している。なお、真本は「美那曽斗久」に誤る。〔袁登賣〕少女。紀の、丸邇之佐都紀臣の女、春日の袁登比売をいう。これで見るも、記伝の訓「をどひめ」などは、誤訓である。〔本陀理〕秀辣。「秀垂」の意。「秀」は「上」。「垂」は「したたり出る」意。酒を入れて、盃に注ぐ器。後世の銚子・徳利の類。「樽」は、この語に基づく。説文に「尊、注レ酒器」とある。「辣」「樽」「尊」は同義。ただし、樽が酒を入れて置く桶の儀に転じた。なお、延本は「本」を「太」に作る。この例は、上にもあった。下も同じ。〔登良須母〕執らすも。「す」は敬語の助動詞の終止形。「も」は感動の終助詞。執っていられるよ。天皇が袁登比売に感激されての言。
田中孝顕 注釈

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