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丸山林平「定本古事記」

- 下巻 -

【 清寧天皇 】

原 文
於レ是、二柱王子等、各相二│讓天下。意富豆命、讓二其弟袁豆命一曰、住二於針間志自牟家一時、汝命、不レ顯レ名隅、更非下臨二天下一之君上。是蝉爲二汝命之功。故、吾雖レ兄、憑汝命先治二天下一而、堅讓。故、不レ得レ辭而、袁豆命、先治二天下一也。
読み下し文
ここに、二柱の王子等、各天の下を譲りあひたまふ。意富豆命、其の弟袁豆命に譲りて曰たまひけらく、「針間の志自牟の家に住めりし時に、汝命、名を顕はしたまはざらましかば、更に天の下を臨らさむ君とはならざらまし。是は既に汝命の功にぞ為りける。故、吾は兄と雖も、猶汝命先づ天の下を治しめしたまへ。」と、のりたまひて、堅く譲りたまひき。故、辞みたまふことを得ずて、袁豆命、先づ天の下を治しめしたまひけり。
丸山解説
〔意富豆命〕真本等、「意豆命」に作る。真本も、下文では「意富豆命」に作っているところがある。紀の「億計王」に引かれての誤写か。いま、延本・底本等に従う。〔不レ顯レ名〕上文にある袁豆命の韻文的調子のことば「物部の、わが夫子の……市辺の押歯王の、奴末。」をいう。このようにして、われら二人の素性・系統を表わさなかったら。「名」は、「素性・系統」の意。〔臨二天下一之君〕「天の下に臨む君」すなわち、皇位を嗣ぎ、天皇となる意。
田中孝顕 注釈

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